「オオノ介の脳内景色」BBプラザ美術館顧問 坂上 義太郎

      2017/03/18

オオノ介は、高校在学時に美術教諭から「自画像を描いてみないか」といわれた。

1カ月位で仕上げた自画像が、大阪府下の高校生による美術展で佳作を得たことを機に、祖母のアトリエを借りて油絵の制作を始める。


更に高校3年の時に見た「ゴッホ展」が、大阪芸術大学に舵をとることとなる。
卒業後、大阪府内の高校で美術講師の傍ら、寡作ながらギャラリー風(大阪)を中心に個展やグループ展で作品を発表している。

ここで少し、彼の作品名のみを列記してみると。
<ルールの木>(2007)、<打ち明げる>(2008)、<名捨て>(2009)、<渋滞ネット>(2010)、
<迷い宙>(2011)、<Bike through>(2012)、<大気汚染>(2013)。
作品名が示すように、車での通勤途上や身の回りの出来事を創作思考の機会としている。

この作家は、人間が住み、学び、働く、環境が変化する過程を一枚ずつ、風刺画のように、自己の思考を視覚化している。

しかも、静かに、ユーモアと温か味を独特のフォルムと色彩に借りて、社会における人間存在の意味を問いかけている。
描かれた景色は、一見おおらかで可愛いらしく見えるが、少し怖い。
だが、普段味わえない知覚の視線に触れられるような皮膚感覚を、彼は持ち合わせている。


何れの作品もアイロニーに満ちており、私たちの想像する能力を刺激し、
“人が人である”という当たり前の事実を食い潰そうとする消費社会への現実を自己の脳内景色として絵画化している。
現在の世の中が混沌とし、人間社会が不安定な今日こそ、オオノ介には、いつまでも脳内景色の作品を追いつづけて欲しい。

( BBプラザ美術館顧問 坂上 義太郎 )


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